日本の木を使う

豊かな森林資源を持ちながら、わが国の家はいつのまにか「外材でつくる」ようになってしまいました。これはとても不自然なことです。
とくに、「日本は諸外国に比べて人工林が極めて豊富にある」ということはあまり知られていません。「天然林を伐採して使うのではなく、自然とうまく共生し ながら人工林を使っていく」というわが国独特の考え方があるのです。その貴重な思想が失われてしまっています。
環境の時代、循環の時代、持続可能な社会の時代を迎えているいま、日本のスギやヒノキをうまく使っていく姿勢をもう一度取り戻す必要があります。

国産材の自給率は20%ほど

日本の木は優れている

なぜ日本の木が使われなくなってしまったか?

山長林業、山長商店のスギ、ヒノキ

国産材の自給率は20%ほど

1955年に90%を超えていた木材自給率は、この50年間で20%にまで落ち込んでしまいました。一方、戦後大量に植林されたスギやヒノキは建築用材として使える大きさに成長しています。
いまこの「日本の木」を使わずにいれば、林業は大きく衰退し「伐採→植林→育林→伐採」というサイクルが止まってしまいます。一度止まったサイクルを取り 戻すのは容易ではありませんし、その過程において森林が果たす貴重な機能(水源涵養、生態系の保全、CO2吸収など)は失われ、気がつかないうちにわたし たちは大きな財産を失ってしまうのです。
※画像をクリックして頂くと、拡大したものが表示されます。(出典:林野庁ホームページ)

日本の木は優れている

わが国に植林されているスギ、ヒノキ、そしてマツ類は建築用材として優れています。いまとくに構造材として海外から入ってきているのは「ホワイトウッド」と 呼ばれるヨーロッパ産の木の集成材です。ホワイトウッドはシロアリや腐れに弱く、耐久性に不安があると言わざるを得ません。
スギやヒノキの心材(中心部の赤いところ)はシロアリや腐れに強いと言われています。もちろん状況によってはこれらの被害に遭うこともありますが、比較すればやはりホワイトウッドよりも耐久性に優れると言ってよいでしょう。
また、スギ、ヒノキ、マツなどの表情は、ホワイトウッドの平坦なものに比べ、味わいのある豊かな表情を持っています。海外から来た建築実務者に日本の木を見せると「なぜ日本人はこんなに美しい木を使わないんだ?」と疑問を持つそうです。

なぜ日本の木が使われなくなってしまったか?

ではなぜこんなに優れた日本の木を日本人は使わなくなってしまったのでしょう?
それには様々な理由がありますが、何よりも大きいのは「品質の確保」に対する努力を怠ったことです。とくに重要な品質は「乾燥具合(含水率)」です。乾燥 がよくないと様々なトラブルが発生してしまうからです。乾燥材の安定供給を怠っているうちに、海外から乾燥などの品質が安定した材料が入るようになり、建 築業界の多くが単純にそれに飛びついてしまったわけです。耐久性に優れ、美しいスギやヒノキの良さを取るのではなく、トラブルの少ない外材を選んだという ことです。これはある意味仕方のないことだったかもしれません。
しかし、日本には乾燥などの品質に優れたスギやヒノキを供給する生産者もいるのです

山長林業、山長商店のスギ、ヒノキ

紀州和歌山で長年にわたって、林業から製材までの一貫生産を行ってきた山長グループは、早くから現代のニーズにマッチした「紀州の木」を供給してきました。
山長の森で育ったスギやヒノキは集成材を上回るような強度を持ち、上品で美しい表情を持っています。さらにそうした素材を最新の技術で乾燥させ、1本1本の木材の乾燥具合(含水率)と強度を測定し、それを表示する先進的な取り組みを行っています。
ハルノイエ住宅工房では、匠の会を通じて山長グループを知ることになり、その取り組みや実際に納入される木材の品質の高さに感動を覚えました。
品質の高い構造材を使って安定した構造体をつくる。山のサイクルが途切れることなく、日本の山を守られ、CO2を吸収してくれる。
山長の木を使うことによって、この2つのことが両立できるのです。